ベイマックス良かった

評判通りとっても良かったです。

王道のエンターテイメント作品として、文句なく完成度が高いのではと。

 

以下個人的にグッときたところ。

(本編と「機甲都市伯林」のネタバレがあるのでたたんでます)

 

 

 とにかくラストシーンがとても良かった。

ベタだのご都合主義だのと言ってしまうのは簡単だけど、

あのアクションを印象づけるバランス感覚とか、

脚本・演出の完成度が高いからこその結実だと思う。

ああいう、ラストに向かっと一直線に向かっていく構造の

物語は、私今も昔もいつでも大好物です。

 

序盤、一瞬Eye of the tigerがかかるところが個人的にツボ。

まあよく知られた曲の引用っていうことでもあるんだろうけど、

ジョン・ラセター一派の作品って結構モンタージュの演出を効果的に

使ってる作品が多くて、それに絡めたちょっとしたオマージュなのかなと

個人的には感じてニヤリ、みたいな。

(あとそもそも僕がEye of the tigerっていうかロッキー好きなので)

 

世間でもすごく日本文化にリスペクトの深い作品だと言われていて、

舞台やキャラ設定だけでなく、確かにそのとおりだと思った。

一番印象的なのでは、ラスト付近での「寸止め」のシーン。

ベイマックスに戦闘手段として「カラテ」を仕込んでることが伏線になってるし、

そこから更に一歩進めてクライマックスでロケットパンチという、

これまたヒーローロボットリスペクトの象徴であるギミックが、

二重の意味で「活人の拳(ヒロとアビゲイル、そしてベイマックス自身を)」

になっているというのがニクい。

この、破壊や攻撃のための手段は、そのもの破壊のためではなく、

その先に何かを活かすために存在するのだ、という哲学が日本的だなあと。

 

この作品でも描かれているし、大きなことを言えば芸術作品全般の

根本的な共通のテーマとも言えると思うんだけど、

ミームは伝わっていく」というのが気持よく描かれていたのがとても心地良かった。

ベイマックスの心臓部分(!)に組み込まれているケアプログラムのチップに、

タダシのサインが入ってるのは、すごく意味があることだと思う。

もちろん、それが失われた時にベイマックスがどうなるのか、ということを

道中できっちり描いているからこそ、オチが効いてくるわけですよ。

 

最後のオチの部分、「手渡す」形になってるのもすごくいいなあと思った。

あれ、「機甲都市伯林」の一巻のラストで、ベルガーが自分の腕を斬って

腕ごとごとヘイゼルに手紙を「手渡しした」シーンを思い出したんですよ。

冒頭にも書いたけど、ほんとにほんとに素敵なオチだとおもう。

 

とにかく、ストレートで気持ち良い娯楽作品だなと。

問題作とか、考えるきっかけとしての物語もいいけど、

やっぱりこういうポジティブなメッセージは、生きていくために定期的に

摂取する必要があるな、とか思ったりして。